海藻類は、海に生育する光合成生物である「藻類」のうち、肉眼で確認できる世代を持つグループの総称です。そのため、顕微鏡サイズの植物プランクトンや維管束植物である海草類(アマモなど)は含まれません。海藻類には、緑藻類、褐藻類、紅藻類の3グループがあり、光合成色素の組成の違いから、それぞれが異なる植物門に属しています。
海藻全体の種数は、世界で約25,000種、日本では約1,500種、瀬戸内海では約300〜400種と言われています。広島大学竹原ステーション周辺では、100種以上の生育を確認できました。瀬戸内海は、古くから人に利用されてきた海ですが、まだよく分かっていない海藻もあり、調査や研究が継続されています。
竹原ステーション周辺の海藻類と生態の詳細については、以下の文献を参照してください。
加藤亜記・城内辰享 2016. 瀬戸内海中西部の広島県竹原市周辺における海藻相と季節的消長. 藻類 64(1): 1-9.
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更新日: 2021/06/29
緑藻類 | |||
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ヒトエグサ | アナアオサ | カイゴロモ | |
フサイワズタ | ミル | クロミル |
褐藻類 | |||
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シオミドロ | ヤハズグサ | ヘラヤハズ | |
シワヤハズ | アミジグサ | イトアミジ | |
ウミウチワ | コナウミウチワ | フクリンアミジ | |
フトモズク | カヤモノリ | ケヤリ | |
ワカメ | ツルモ | ヒジキ | |
ヤツマタモク |
紅藻類 | |||
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マクサ | オバクサ | ベニマダラ | カギケノリ |
イソウメモドキ | フクロフノリ | シキンノリ | イトフノリ |
ムカデノリ | フダラク | マツノリ | キョウノヒモ |
ホソバノトサカモドキ | ユカリ | ミリン | フシツナギ |
アヤニシキ | マギレソゾ | ジャバラノリ | コザネモ |
海草 | ||
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アマモ | ヤマトウミヒルモ |
形態: 体は高さ10〜20cmまでになり、基部付近から放射状に皺をなし、縁辺は波打つ。体は1層の細胞からなる。
生態: 潮間帯上部から中部の岩上に生育する。
形態: 体は仮根糸からなる小塊状の付着器を持つ。高さは20〜30cmまたはそれ以上になる。体形は卵形〜楕円形などで、しばしば不規則に破れて裂片となり、縁辺は全縁で多少波打ち、表面にはふつう大小の円形または不規則な形の孔を多数持っている。体は2層細胞からなる。
生態: 潮間帯中部から潮下帯にかけて広く生育する。
形態: 高さは1.5mmでビロード上の被覆を作り、鮮緑色である。体は2回、まれに3回分枝し、分枝は互生的か偏生的で、細胞は直径15〜40μmで、長さは直径の3〜9倍であり、先端は尖らないか、鈍頭に近い。
生態: 巻貝の一種スガイ Turbo coronatum の殻の上に生育する。
形態: 体は匍匐部と直立部からなり、匍匐糸は直径1〜1.5mmで表面が平滑で、下方に仮根を持つ枝を出して付着する。直立糸は単独または2本接近して出て、円柱状で無分岐または1〜2回不規則に分岐し、高さ17cmまでになり、全面が小枝で囲まれる。小枝は長楕円形から棍棒状で長さ2〜5mm、直径1.5〜2mmあり、短い柄を持ち、柄の上部で軽くくびれる。
生態: 低潮線付近から漸深帯にかけて生育し、ときに砂に埋まるような場所にもある。
形態: 高さは30〜40cmまたはそれ以上になり、ふつう叉状に分岐して枝はみな同一の高さになって扇状になり、ときに不規則に分岐し、円柱状か分岐のすぐ下ではやや偏圧し、海綿状の盤状部から単独にまたは数本直立体を生ずる。
生態: 低潮線付近の岩礁上にしばしば大きな群落を作る。
形態: 体は叉状に分岐し、基部近くはやや円柱状でそれより上に枝は扁円から扁圧していて、末端部も円柱状に近く先端は鈍円である。分岐点で腋は丸く、その下で枝は扁平で幅広くなる。高さは15〜30cmであり、分岐がきわめて不規則になることもある。色は濃暗緑色で、質は多肉質である。
生態: 低潮線付近から漸深帯に生育する。
形態: 体は房状で柔らかく、高さは1〜10cmで、はじめは基物に付着して、後に遊離して浮遊することがあり、中央部は細胞糸が絡み合っている。体の下部では各方面にたくさんの枝を出し、上部では互生または片側に偏生し、しばしば湾曲して上方に向かっている。
生態: 潮間帯下部の砂の多い岩上に生育し、他の海藻にも着生する。
形態: 体は褐色の毛に覆われた円錐状の付着器から数本叢生して直立し、はじめ単葉で披針形から線状披針形で中肋は先端まで明瞭である。生長すると両面の中肋から枝を出して分岐する。体は高さ25〜30cmになり、枝は幅3〜20mmである。色は淡い緑褐色である。
生態: 漸深帯のやや深いところに生育する。
形態:体は直立して帯状で叉状に分枝し、枝は広がり、腋は鋭角で、太く隆起した中肋があり、高さ8cmになる。体下部では葉片がなく円柱状の茎状となる。色は生時褐色で、水中では淡青い光沢があり、乾くと黒くなる。
生態:漸深帯のやや深いところに生育する。
形態:体は直立し、基部には褐色の毛が少量あり、高さ6~15cmになる。体は扁平で線状であり、ふつう規則的に叉状分岐する。枝の幅はふつう2〜5mmあり、縁辺は全縁で頂端は鈍円である。色は黄緑色から褐色で、質は薄い膜質である。
生態:低潮線付近に生育する。
形態:体は高さ5〜15cmになり、細い線状で幅0.3〜2mm、又状によく分岐する。ところどころから仮根糸を出してたがいに接着し、またしばしばねじれる。枝の先端はやや尖る。色は淡黄褐色から緑褐色で、質は薄い膜質である。
生態:低潮線から漸深帯に生育する。
形態:体は扇形で高さ6〜7pになり大きくなると放射状に裂ける。基部近くは褐色の毛を密に生じて厚くなり革質である。
生態:低潮線付近の岩上に群生する。
形態:高さは7〜12cmになり、0.5〜1cmの長さの短い柄を持ち、柄は体下部とともに短い褐色の毛で覆われ、上部は扇状に拡がりしばしば多数の裂片に裂ける。体の特に下面に石灰質を薄く沈積する。
生態:低潮線付近の岩上に群生する。
形態:体は叢生し、高さは3〜10cmである。下部は細く茎状になり、黄褐色の毛があり、その両縁からと表面から細い糸状の枝を出して基物に付着する。色は緑褐色である。
生態:低潮線付近に生育する。
形態:体は小盤状付着器から直立し、中実で粘質に富み、主軸が明瞭で長さ10〜30cm、直径1〜3mmあり、不規則に互生的に各方面に分枝し、ときに数本の主枝が伸長して主軸が不明瞭になることがある。枝の先端は尖らない。
生態:漸深帯に生育する。
形態:体は小さい盤状の基部から叢生し、円柱状または扁平で中空であり、高さ10〜30cm、幅3〜8mmである。体は生長するとふつう規則的にくびれる。
生態:潮間帯下部に生育する。
形態:胞子体は高さ15〜30cmになり、1本ないし数本の主軸があり、多数の長い側枝をらせん状につけ、側枝もさらに分枝する。最末の小枝の先端には毛の房を持ち、古い枝では毛の房は脱落する。
生態:漸深帯の深所に生育する。
形態:葉部ははじめ卵形で全縁、やがて茎と葉の境目に櫛の歯状の切れ込みを生じ、しだいに両縁に多数の切れ込みを持った羽状葉になる。羽状葉の全形は円形、長卵形、楕円形で長さ17〜120cm、幅14.5〜54cmになり、葉面は平滑またはゆるやかに縮れる。質は柔らかく、やや粘質な膜質で、色は濃い黄褐色または黒褐色である。茎は扁円ないし扁圧で、幅0.4〜3cm、厚さ0.5〜1cmになる。根枝は繊維状で、多少不規則に叉状に分岐し、たがいに絡み合い、やや団塊状の付着器を作る。
生態:低潮線付近から漸深帯に生育する。
形態:体(胞子体)は小盤状付着器から直立し、円柱状で茎部と頂端は細く、長さ63〜300cmになり、太いところで直径2〜5mmになる。
生態:やや波の穏やかな場所の漸深帯にある石や貝殻上に生育する。
形態:体は基部から繊維状の付着根を出して基物の上を拡がり、直立する茎は円柱状で短く、その頂部から少数の主枝を生ずる。主枝は側枝を羽状に互生する。主枝の下部の葉は扁円から扁圧多肉質であり、狭い楔形で下部は円柱状の柄状となり、上部は広く縁辺に粗い鋸歯を持つ。上部の葉は円柱状で両端が細くなり、上部が扁圧して縁辺に鋸歯を持つものもある。色は黄褐色で質は多肉であり、乾燥すると黒くなる。
生態:潮間帯下部に顕著な群落を作る。
形態:付着器は平たい盤状で、1本から2〜5本の茎を生ずる。茎の上部から数本の主枝を出す。主枝は偏圧して両縁に薄くなり、互生羽状に分岐する。発育初期の主枝は羽状分岐した葉状であり、葉と枝の区別が不明瞭である。主枝の上部の葉は線状で互生羽状に分岐するものもあり、隆起した中肋を持ち、縁辺は全縁か粗く浅い鋸歯を持つ。
生態:漸深帯上部に生育する。
形態:体は叢生して高さは10〜30cmになり、細線状から糸状で扁圧して縁辺の方が薄くなり、幅0.5〜2mmで、上部は細く円柱状に近くなる。体は4〜5回羽状に分岐し、主枝はまっすぐかわずかに屈曲し、はじめ正しく羽状に分岐して輪郭が三角形になり、大きくなると上部の枝がのびてくる。枝の基部は細くならず、先端は尖る。
生態:低潮線付近から漸深帯の岩上に多く生育し、大きな群落を作ることがある。
形態:体は高さ6cmになり、線状で扁圧ないし扁平で、3〜4回正しく羽状に分岐し、下部の枝が長く、腋は大きい角度で、輪郭が三角形になる。枝は幅1〜2mmで基部は細くなり、先端は鈍頭である。
生態:潮間帯下部から漸深帯上部の岩上に生育する。
採集日: 2012年10月12日
採集地: 竹原市生野島 (広島県)
形態:体は殻状で外形は不規則で革質であり(左図)、厚さは120μmになり、表面は平滑で、生殖器巣(右図)はやや隆起する。色は赤褐色である。体は匍匐細胞糸からなる基層と、直径約5μmの密に接した細胞糸からなり、しばしば縦に並ぶ。
生態:低潮線から漸深帯の岩上に生育する。
形態:配偶体は不規則に分岐した円柱状の匍匐する部分から直立し、直立軸は高さ10〜30cmで分岐が少なく、基部近くで直径1.5〜2mmあり、上方に細くなる。直立軸の下部には枝はなく、上方には多数の枝を各方向に出し、さらに密な小枝をつけ、最末の小枝は糸状である。太い軸部は多肉質で、細い小枝は柔らかい。
生態:潮間帯下部の岩の上に生育し、大きな群落を作ることがある。
形態:体は盤状付着器から叢生し、細い円柱状で両端に細く、主軸はやや明瞭で各方向に数回分枝し、高さ10〜30cmになる。枝は糸状で先端は尖る。
生態:漸深帯上部の岩上に生育する。
形態:体は盤状の付着器から叢生し、短い茎状部から円柱状になる。体は高さ3〜10cmで大きいものは15cmに達し、直径2〜5mmになる。体は不規則な叉状に分岐し、分岐部分などでくびれ、中空となり円柱状か部分的に平たくなる。質は革質で強靭である。
生態:潮間帯の岩上に生育して、しばしば顕著な帯状群落を作る。
形態:体は叢生し、扁平線状で高さ8〜15cmになり、幅広いところで4〜5mmになる。体は両縁から羽状に分岐し、密に互生や対生し、しばしば叉状の枝も持ち、枝はほとんど直角に出て先端は尖り、やや左右に屈折し、枝は長いものや短いものが混在し、短いものは鋸歯状である。色は単暗紅色で、質はやや硬い軟骨質である。
生態:低潮線付近から漸深帯に生育する。
形態:体は盤状の付着器から叢生し、高さ10〜20cmになり、円柱状で直径1.5mmあり、主軸は明瞭で、各方向に枝を輪生的にまたはやや互生的に出し、さらに小枝を生ずる。
生態:潮間帯上部の岩上に生育する。
形態:体は盤状付着器から叢生し、基部は円柱形の短い茎状部で、扁平な細線状になり、多少明瞭な主軸があり、高さ20〜30cmになり、幅は3mmで先端は尖る。質は柔軟である。
生態:潮間帯の岩上に生育する。
形態:体は盤状の付着器から単独にまたは叢生し、短い柄から扁平な披針形の葉部に拡がる。基部近くで分岐することが多く、複数の葉片に見えることがある。柄がはっきりせず無柄的なものも少なくない。体は60cmになり、幅20cmとなる。葉部は、しばしばいくつかの裂片に分かれ、先端は丸くなる。若いとき質は粘質に富むが、古くなると革状になる。
生態:波の静かな場所の低潮線付近の岩上に生育する。
形態:体は盤状付着器から叢生し、基部近くは円柱状で、上部は扁平で繰り返し叉状に分岐する。分岐は体上部で多く、全体として半球形になり、高さ4〜7cmになる。枝はふつう楔形で幅広いところで5mmになり、鈍頭あるいは細くなって終わる。体表面または縁辺から枝を副出することがある。質は軟骨質でやや弾力がある。
生態:潮間帯の岩上に生育する。
形態:体は高さ30cm、幅4cmになり、単葉か、ときに頂端または中部から分岐し、分岐部分は強くくびれ、先端は尖らない。春先は副出枝を持たないが、5月中旬から6月下旬にかけて縁辺や表面から多数の小枝を副出し、縁辺から出る小枝は表面のものよりもやや大きく、基部は強くくびれ、披針形で先端は尖らない。質は軟骨質で弾力があり、乾燥すると表面に光沢がある。
生態:潮間帯の岩上に生育する。
形態:体は盤状の付着器から叢生して、短い扁円の茎を持ち、ただちに扁平茎状部になる。葉状部は線形で叉状様に分岐して全体として扇状になり、高さ10〜17cmになる。体は鮮やかな紅色で、質は薄い膜質である。
生態:低潮線付近から漸深帯にかけての岩上に生育する。
形態:体は線状扁平で薄い膜質で、高さ4〜7cm、幅1〜2mmになり、上部は細くなる。主枝はわずかにジグザグに屈曲し、縁辺から枝を2本ずつ互生する。上方の枝は伸長して、さらに分岐して3〜4回複羽状になる。
生態:漸深帯の岩上や他の海藻上に生育する。
形態:1〜数本の直立体が盤状ないしやや仮盤状の付着器から生じ、高さ40cmに達する。若いときは柔らかい肉質であるが古くなると軟骨質に近くなる。体は2〜3回互生的に分枝し、枝の基部はくびれ、先端は尖る。質は多肉質で粘質がある。
生態:低潮線付近の岩の上に生育する。
形態:体は盤状付着器から直立し、基部から匍匐糸を出す。匍匐糸は不規則に分岐し、ところどころに盤状の付着器を持つ。直立部は円柱形で2.5〜7mmの間隔でくびれがあり、3〜5回対生的、輪生的、まれに互生的に分岐し、高さ7〜12cm、太さ1〜1.5mmになる。枝の先端は尖らない。質は軟骨質である。
生態:潮間帯下部に生育する。
体は基部の膜状部と網状部からなる。膜状部の下部の数ヵ所で基物に付着し、厚さ60〜100μmで、表面観で多角形の細胞が規則的に配列する。膜状部は後にいくつかの裂片に分かれることがある。膜状部の縁辺から網状部の形成が始まり、数枚の網状葉片が形成され、周辺は連続した狭い膜状部となる。生時は緑色の蛍光色を持ち、乾燥すると美しい紅色になる。
生態:低潮線付近から漸深帯にかけて、波の静かな場所の岩の上や他の海藻などの上に生育する。
形態:体は盤状付着器から多数叢生し、高さ3.5〜17cmになり、基部の匍匐糸はない。主軸から不規則な間隔で枝を互生的から輪生的に生じる。分枝は4回まで次々に生じて外形は円錐状となる。色は暗赤紫色で、質は柔らかい多肉質である。
生態:潮間帯下部の岩上に生育する。
形態:体の下部はホンダワラ類などの体上に匍匐し、腹面のところどころから付着器を生じている。体上部は遊離して伸長し、扁円で、その両面から披針形から卵円形の短条は、長さ0.5〜1mmで幅はやや狭く、頂端はくぼむか、鈍円で、若いときには毛状枝を頂端に持つ。短条の葉面には中央に1列細胞の中肋があり、1層細胞からなる。枝の先端は背面の方に巻き込んでいる。色は鮮紅色である。
生態:ホンダワラ類などの体上に絡みつき,生育する。
形態:体ははじめ匍匐して長楕円形から倒卵円形で扁平葉状、縁辺はわずかに刻みがあり、生長すると膜状で直立し幅1.5〜8mmで不規則に分岐し、羽状となることもある。縁辺は全縁か浅い歯状の裂片を持ち、高さ5〜8cmになる。質は薄い膜質である。
生態:漸深帯上部の岩や他の海藻の上に生育する。
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