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無脊椎動物に寄生するカイアシ類
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普段私たちが食用としている魚(脊椎動物=背骨を持つ)に寄生するカイアシ類とともに、無脊椎動物(背骨を持たない)にも様々なカイアシ類が寄生しています。例えばホヤ、貝類、イカやタコなどが挙げられます。
また、カイアシ類の寄生対象は、私たちの食用となる生物だけではありません。もちろん私たちに身近な事象がよく調べられるのですが、私たちに間接的に関係するアミ類と日本で調査の無いアミ類に寄生するカイアシ類について、詳しく紹介しています。

ホヤ

     

日本でも20〜30種のカイアシ類の寄生が報告されています。食用とされるマボヤでは咽頭にマボヤマメジラミが寄生し、場所によって寄生率70%にもなり、マボヤ1個体に対し、40個体ものマボヤマメジラミが寄生することもあるようです。しかし詳しいことはわかっていないようです。

貝類

アサリなどの貝の中にカニが入っているのを見たことがあるかもしれません。これは、カクレガニというカニの仲間で二枚貝に多く寄生しています。同様に、カイアシ類も実はアサリに寄生していることがあります。ただ小さかったり、鰓や消化管に多いことから注意深く観察しなければ見つけることができません。ホタテ、サザエ、マガキやハマグリといった貝にも寄生しています。だから知らないうちに寄生したカイアシ類を食べていると思います。しかし、これらのカイアシ類に害はなく、むしろカニやエビといった甲殻類の仲間ですから、いい味を出しているかもしれませんね。二枚貝に寄生するカイアシ類は中国や韓国からの報告もあり、中国ではこのカイアシ類の大量発生とともに細菌の感染が起こり、天然の二枚貝の大量死が起こっています。他にもホタテガイからホタテエラカザリというカイアシ類が報告されています。その名のとおりホタテの鰓に付けられた飾りのように見えます。実際はホタテエラカザリがホタテから吸血するため、ホタテの身が細るという恐ろしい飾りです。

イカ・タコ

数が少なく日本ではイカ類から1種、タコから5種が報告されています。イカやタコに寄生するカイアシ類は主に鰓に寄生しています。

オカダヨアミ   Siriella okadai

アミ類は沿岸から深海、湖沼にかけて広く分布する動物プランクトンで、世界で約1,000種、日本では約200種が知られています。体長は小さいもので1cm前後のものから30cmを越える大型のものまで存在します。沿岸域に生息する小型種は魚の死骸や有機物を食べて環境を浄化すると共に、魚の餌生物として生態系の中で重要な役割を果たします。広島県竹原市周辺の海域では6月〜10月にかけて、夜間の満潮時に表層近くに多く出現し、目の細かいプランクトンネットを用いて採集することができます。瀬戸内海では、オカダヨアミ(Siriella okadai)(図1)という体長1cm前後のアミが優占しています。

図1. オカダヨアミ(Siriella okadai)の各部の形態

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