カイアシ類は、地球で最も繁栄している甲殻類です。
カイアシ類といってピンとこなくても、ケンミジンコ、ヒゲナガミジンコといえば聞き覚えがあるのではないでしょうか?「ミジンコ」という名前がついていても、実は、フジツボ、フクロムシあるいはウミホタルに近縁な動物です。その大きさは顕微鏡サイズの微小甲殻類で、胸脚をボートの橈(カイ)のように使って遊泳することが「橈脚(カイアシ)類」の名前の由来になっています。カイアシ類の種数は甲殻類の中では十脚目に次いで多く、現在11目約12,000種が知られており、その約35%が寄生または共生している種です。現在でも多くの新属・新種が報告されています。形態、生態は実に多様性に富んでいて、体長は普通0.5〜10mm程度ですが、中には30cmにもなる寄生性種も存在しています。生息域としては、陸水及び海洋(ベントス:底生性、プランクトン:浮遊性)、陸上(土壌動物)で自由生活するものと、他の無脊椎動物・脊椎動物に共生・寄生するものなど様々です。動物のなかでは最も広い生息域をもつものの一つで、水平的には赤道域から極域、鉛直的には水深10,000mの深海からヒマラヤ山脈の標高5,000mまで生息しています。食物連鎖において、カイアシ類は生産者である植物プランクトンなどを餌とする一方、私たちの食資源となる硬骨魚類の稚仔魚、親魚の主要な餌生物となっていて、両者の栄養段階をリンクする重要な役割を担っています。しかし、魚類の餌である一方、水産資源上重要な魚介類などに寄生して、商品価値をなくしてしまう場合があります。このようなカイアシ類の形態、生態などについては、後に詳しく述べます。
Kingdom | Metazoa (動物界) | ||
Phylum | Arthropoda (節足動物門) | ||
Subphylum | Crustacea (甲殻亜門) | ||
Class | Maxillopoda(顎脚綱) | ||
Subclass | Copepoda (カイアシ亜綱) | ||
Infraclass | Progymnoplea | ||
Order | Platycopioida (プラティコピア目) | 全て自由生活性 | |
Infraclass | Neocopepoda | ||
Order | Calanoida (カラヌス目) | 大部分が自由生活性、一部共生性 | |
Cyclopoida (キクロプス目) | 自由生活性、寄生性 | ||
Gelyelloida (ゲリエラ目) | 全て自由生活性 | ||
Harpacticoida (ハルパクチス目) | 自由生活性、寄生性 | ||
Misophrioida (ミソフリア目) | 全て自由生活性 | ||
Monstrilloida (モルモニラ目) | 全て自由生活性 | ||
Poecilostomatoida (ポエキロストム目) | 全て寄生性 | ||
Siphonostomatoida (シフォノストム目) | 全て寄生性 | ||
Thaumatopsylloida | 全て寄生性 |
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