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演習に関する学術用語の解説
(海藻類) 
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竹原ステーションで実施される演習に関する学術用語の解説(他大学・広大の学部生向け)を 「共生」 「魚病など」 「プランクトン」 「海洋環境」 「無脊椎動物」 「有用水産動植物」 「海藻」 「魚類」 に纏めました。予習、復習に活用ください。
詳細は、各用語をクリックしてください。表中の図は、クリックで拡大されます。

海藻類に関係する分類
藻類 海藻 海草(海産顕花植物)
緑色植物門/緑藻植物門 緑藻類 不等毛植物門/オクロ植物門
褐藻類 紅色植物門/紅藻植物門 紅藻類
ラン藻類/シアノバクテリア
藻類の光合成色素
クロロフィル カロテノイド フィコビリン
海藻類の生活史
世代交代 生活史 雌雄同株 雌雄異株
多年生 一年生 ヒジキの生活史
海藻類の多糖類
寒天 カラギーナン アルギン酸
海藻類の生態
海藻類の生育帯の区分 低潮線 高潮線 潮下帯
潮間帯 タイドプール(潮だまり) 藻場 海中林
アマモ場 ガラモ場 アラメ・カジメ場 磯焼け
流れ藻
海藻養殖
ノリの生活史 ノリの養殖の過程
引用文献

海藻類に関連の深い専門書等
・海藻資源養殖学 徳田廣(編) 緑書房 1987年
・藻類の生活史集成 第2巻 褐藻・紅藻類 堀輝三(編) 内田老鶴圃 1993年
・藻類の多様性と系統 千原光男(編) 裳華房 1999年
・藻類30億年の自然史 第2版 井上勲 東海大学出版会 2007年
・藻類ハンドブック 渡邉信ら(編) NTS 2012年
・海藻ハンドブック 横浜康継 文一総合出版 2013年
・改訂 磯焼け対策ガイドライン 水産庁 2015年
その他
・現代生物科学辞典 マイケル・タイン, マイケル・ヒックマン(編) 太田次郎(監訳) 講談社 1999年
・水圏生物科学入門 会田勝美(編) 恒星社厚生閣 2009年
・沿岸海洋研究 46(2) 小松輝久ら 2009年
・水産海洋ハンドブック 第3版 竹内俊郎ら(編) 生物研究社 2016年

海藻類に関係する分類

藻類 algae

酸素発生型光合成をする生物のうち,コケ,シダ,種子植物を除いた生物で,約10植物門に分類される。このうち肉眼的な世代のある分類群は3植物門に限られ,その他は微細藻類である。

海藻 seaweed

海に生育する藻類のうち,肉眼的な世代をもつ緑藻類,褐藻類,紅藻類の総称。海産の植物プランクトンは「藻類」であるが,「海藻類」ではない。

海草(海産顕花植物) seagrass

海草は,海に生育する被子植物の総称で,海藻とは異なり,花が咲き,種子を作る。海産顕花植物(flowering marine plant)とも呼ばれる。温帯域における代表種はアマモなどである。海藻と区別するため,「うみくさ」と読むことがある。

海草(うみくさ)
海産種子植物(陸上から海に生育場所を移した高等植物)
 
海藻(かいそう)
海中に生育する緑藻,褐藻,紅藻などの大型藻類の総称
緑色植物門/緑藻植物門 Chlorophyta

海藻類、植物プランクトンとしての緑藻類が属する。詳細はこちら(外部サイト:生きもの好きの語る自然誌

緑藻類 green algae

緑藻類(green algae)は約10,000種が知られているが,その80%以上が淡水産である。遊走細胞の先端からは複数の鞭毛が出るが,それらは数に関係なく等長である。色素はクロロフィルaとb,カロテノイド,キサントフィルをもつ。体は緑色を呈する。光合成による同化産物はデンプンである。体制はアオサのように葉状のもの,アオミドロのような糸状の物など様々である。シャジクモ類は構造が特殊なため別に扱われることが多いが,緑藻に含める場合もある。食用としては,ヒトエグサ,アオサ・アオノリ類,クビレズタ(海ぶどう),ミルなどが利用される。

不等毛植物門 Heterokontophyta/オクロ植物門 Ochrophyta

褐藻類や珪藻類が属する。詳細はこちら(外部サイト:生きもの好きの語る自然誌

褐藻類 brown algae

褐藻類(blown algae)はほとんどが海産で,いずれの種も体は多細胞からなる。配偶子,遊走子などの遊走細胞には側面から出る不等長の2鞭毛がある。色素はクロロフィルaとc,βカロテンをもち,フコキサンチンが多いため褐色を呈する。光合成による同化産物はラミナリン,マンニトールである。細胞間に粘質多糖類のアルギン酸やフコイダンを多く含むものがある。糸状,葉状あるいは樹枝状など様々な構造のものがある。海藻の中では最もよく発達した藻体を形成し,大きくなるものでは数十mにも達する。ただし,熱によりフコキサンチンに結合したタンパク質が変性すると赤色を失い,緑色の体色となる。食用としては,ワカメ,コンブ類,ヒジキなどがある。

紅色植物門/紅藻植物門 Rhodophyta

かつては紅藻綱のみが属していたが、近年の研究により数綱に分類されている。詳細はこちら(外部サイト:生きもの好きの語る自然誌

紅藻類 red algae

紅藻類(red algae)は世界で5000種以上が知られており,そのほとんどが海産種である。生殖細胞には鞭毛がなく,運動性を欠く。色素はクロロフィルaとd,色素タンパク質として赤色のフィコエリトリンを多量にもち紅色に見える。その他に青色のフィコシアニンなどを含む。同化産物は紅藻デンプンである。セルロースと厚いゲル状多糖からなる細胞壁をもつ。食用としては,アマノリ類,テングサ類,ツノマタ類,オゴノリ類がある。アマノリ類は,日本の養殖海藻のうち,最大の生産量があり,おにぎり,寿司などの海苔として加工される。

ラン藻類 blue-green algae/シアノバクテリア cyanobacteria

シアノバクテリアとも呼ばれる真正細菌。植物門としての名称は藍色植物門。地球上で初めて酸素を発生した生物。食用としては淡水産のスイゼンジノリやスピルリナなどがある。

海藻類の光合成色素

クロロフィル chlorophyll

すべての光合成生物が持つ光合成色素。おおよそ黄緑〜青緑色。

カロテノイド carotenoid

すべての光合成生物がもつ光合成色素。おおよそ黄色。動物の体色とその変化(婚姻色,保護色など)に関与している。動物には生合成能力がないので,餌料として取り込む。

フィコビリン phycobilin

ラン藻類,紅藻類などがもつ。おおよそ赤色と青色。アメフラシが放出する紫色の液の色素成分は餌となる紅藻類由来と考えられる。

海藻類の生活史

世代交代 alternation of generations

ある種で,有性生殖と無性生殖が交互に繰り返されること。体細胞の核相も変化する。有性生殖では,配偶体(n)が配偶子(n)を作り,接合(受精)する。無性生殖では,胞子体(2n)が,減数分裂して「胞子」(n)をつくる。

生活史

生物の一生の過程。とくに環状に図示したものを生活環と呼ぶ。

雌雄同株

同一個体上に,雌性と雄性,両方の生殖器官をもつもの。

雌雄異株

雌雄の生殖器官が別々の個体にあるもの。

多年生

栄養的な方法で何年も生きること。

一年生

発芽から死までの生活環を,生殖の回数に関わらず一年で終えるもの。

ヒジキの生活史

海藻類の多糖類

寒天 agar

紅藻類のテングサ類,オゴノリ類のもつ多糖類。熱水で抽出される。食用として,トコロテンなどの伝統食材やゼリー状の食材のほか,医薬品,介護食,化粧品などにも使われる。

カラギーナン carrageenan

紅藻類のキリンサイ類、オオキリンサイ類などのもつ多糖類。食用として、ゼリー状の食材の他、医薬品、介護食、化粧品などにも使われる。

アルギン酸 alginic acid

褐藻類のコンブ類などのもつ多糖類。アルギン酸ナトリウム。食用の増粘安定剤の他、繊維等の染色用糊料などにも使われる。

海藻類の生態

海藻類の生育帯の区分

低潮線

大潮時に海面が最も低くなる位置。

高潮線

大潮時に海面が最も高くなる位置。

潮下帯

低潮線より下の部分で,普通,常に海水につかっている場所。

潮間帯

潮の満ち引きで干上がったり,海水につかる場所。上部,中部,下部に分けられている。

タイドプール(潮だまり)

干潮時に海水が取り残される場所。

藻場 seagrass bed/seaweed bed

海草のアマモ類,海藻の褐藻ホンダワラ類,アラメ・カジメ類,コンブ類および紅藻テングサ類などから形成される群落。群落のおもな構成種によって,アマモ場,ガラモ場,アラメ・カジメ類などと呼ばれる。いずれも魚介類資源の再生産など生物多様性の維持に重要な役割を果たす。

海中林 seaweed forest

海藻藻場の内、紅藻テングサ類などの小型藻類から形成される群落以外を指す。

アマモ場 zostera bed

アマモ・コアマモ等の海草類が繁茂する海域。海草類は主に砂泥底に生育し、魚類の産卵場や餌場として重要。

アマモ場
ガラモ場 sargassum bed

ホンダワラ類等の褐藻の海藻類が繁茂する海域。温帯域の海藻藻場でよく見られる。海藻類は主に岩礁帯に生育し、魚類の産卵場や餌場として重要。近年の海水温上昇傾向にともなう、生産力の低下や食害の影響による衰退(磯焼けなど)が問題になっている。

ガラモ場
アラメ・カジメ場

温帯性コンブ類のアラメ・カジメ類が繁茂する海域。ガラモ場と同様、温帯域の海藻藻場の主要な構成要素であり、衰退・消失が問題となっている。瀬戸内海中央部ではクロメ(カジメ属)が分布する。

アラメ・カジメ場
磯焼け barren ground/rocky-shore denudation

浅海の岩礁・転石域において海藻の群落(藻場)が、季節的消長や多少の経年変化の範囲を超えて著しく衰退または消失して貧植生状態となる現象。しばしば漁業被害を伴う。古くから無節サンゴモが優先し、高密度のウニが見られることでも知られる。原因は藻食性魚類やウニによる食害、海流・気候の変化、土砂の流入など多岐に渡る。

流れ藻 drifting algae/seaweeds

海面に浮遊している様々な海藻や海草のパッチの総称。日本周辺ではホンダワラ類の海藻が大部分を占め、これらが成熟する春〜夏季に増加する。流れ藻は付着性甲殻類や沖合の魚類の生息場所となっており、特にブリ養殖では流れ藻に随伴する稚魚(モジャコ)を採捕するため、分布が重要視される。

海藻養殖

スサビノリの生活史

ノリの養殖の過程

       

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