体長は、普通0.5〜10mm程度ですが、なかには30cmにもなる寄生性種もいます。胸節の数、腹節の数は各種により異なりますが、融合するものもおり、寄生性種の中には完全に融合してしまうものもいます。
浮遊性カイアシ類の基本的な体のつくりは右図に示してあります(図1)。カイアシ類の体は前体部と後体部に分かれています。分かれ目は、第4胸節と第5胸節の間と、第5胸節と生殖節の間と目によってかわります。カイアシ類の付属肢は、頭部の前方から第一触角、第二触角、大顎、第一小顎、第二小顎、顎脚の6対の付属肢があります。そして、各胸節には、胸脚を持ちます。しかし、これらの付属肢は各目によって形態が著しく異なります。第一触角は、感覚器、および生殖の際にメスを把握するために使われます。その際、オスでは左右どちらか、または両方が把握器に変形する場合があります。またグルーミング(体表をきれいにする行動)に用いられることもあります。第二触角は、遊泳、摂食、把握に用いられます。大顎は、餌を食べるための歯があり、また遊泳の際にも利用されます。第一小顎、第二小顎、顎脚は、餌を把握する際に用いられますが、第一小顎、顎脚は遊泳の際にも利用されます。胸脚は第一から第六胸脚まであり、通常遊泳用に用いられます。第五胸脚、第六胸脚は、遊泳機能を持たないことが多く、退化、欠如することもありますが、第五胸脚に関しては重要な外部生殖器官となっているものも存在します。
図1. 浮遊性カイアシ類の基本形態 大塚教授 (1997)より
寄生性カイアシ類の体のつくりは、種によって異なり、浮遊性カイアシ類の体の一部を変形させて遊泳も寄生もできるようなものや、寄生に適応したために付属肢のほとんどが退化したものや、痕跡的になったものなどさまざまです。例として、Caligidae(カリグス科)寄生性カイアシ類の体の構造を図2に示します。頭胸部は吸盤状になっていて、宿主の体表に吸い付き離れないような構造になっています。第一触角は宿主に寄生している際は、餌を探す必要がないので、感覚器官としての必要性が無く退化しています。第二触角は鉤状に変形していて、これで宿主の組織を貫いて取り付きます。大顎は口と一体化していてチューブ状になっています。第一小顎は退化していて痕跡的となっています。第二小顎の機能は浮遊性のものと同じで摂餌のために使われます。顎脚はメスでは捕食に、オスでは交尾の際、メスをつかむための把握器として使われます。第二胸脚は遊泳時に使われますが、第一・第三・第四胸脚は退化、第五・第六胸脚が欠如しています。
図2.寄生性カイアシ類Caligidaeの基本形態
C.-L. Lin, J.-S. Ho and S.-N. Chen (1994)より
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